Ilocos イロコスの旅

ルソン島北部にあるイロコス地方はフィリピンで人気の観光地が多い。
例えばスペイン風コロニアル建造物が多く集まる世界遺産のビガン歴史地区、同様に世界遺産のバロック様式の教会として登録されているサンタマリア教会とパオアイ教会、マルコス元大統領の出生地や関連遺産があるバタック、有名ビーチリゾートがあるパグドプッドなど見どころが多い。
コロナの影響もあってか外国人は少ないが、フィリピンの国内旅行者は以前と変わらない人気ぶりだ。

ビガン歴史地区

イロコス地方とは、Ilocos Norte イロコス・ノルテ州、Ilocos Sur イロコス・スル州、に加え La Union ラ・ウニョン州、Pangasinang パンガシナン州 も入っている。しかし、現地の人の感覚ではイロコス・ノルテとイロコス・スルをイロコス地方と呼ぶ、つまりイロコス地方のノルテが北でスルが南。
ビーチリゾートが有名なサンファンやサンフェルナンドがあるのは La Union ラ・ウニョン州で、対して Pangasinang パンガシナン州には 100 Islands と呼ばれる超有名な国立公園がある。

全てを観光するには移動も含め2週間くらい必要になるが、イロコス・スルとイロコス・ノルテ、だけなら3~5日あれば大体回れる。
そのイロコス地方には深夜バスを利用したマニラやバギオからのフィリピン人旅行者が多く、週末はどこも観光客で賑わう。フィリピン人観光客に聞くと、深夜バスでマニラから中心都市のラオアグへ行き、一日観光してから同日中にパグドプッドへ移動して、翌々日の夜行バスでマニラへ帰るという、2泊3日での強行スケジュールだった。

しかし、外国人にとってはそんなに簡単な話ではない。マニラではバス会社によってターミナルが違うので、スケジュールが定まらないバスの予約やバスターミナルまでの移動だけで大仕事だ。その後の9時間の移動はさすがに辛い。

Saud Beach

イロコス地方の人気観光地を整理してみると、ビガンの歴史地区、サンタマリア教会、バタックのマルコス博物館、パオアイ教会、パグドプッドのサウドビーチ、ブルーラグーンなどが人気だ。

中でもユネスコの世界遺産に登録されたビガンは突出して人気がある観光地だ。ビガンはフィリピン北部の歴史的な街で、16世紀のスペイン統治時代の影響を色濃く残し、石畳の通りやスペイン風の建築物が観光客を魅了している。また、ビガンは街全体が映画のセットのような雰囲気で、カレッサと呼ばれる馬車に乗って観光するのが人気だ。
次に、18世紀に建てられたバロック様式のサンタマリア教会も同じく世界遺産に登録されていて人気の観光地だ。ビガンとサンタマリア教会は近く、バスで30分ほどで行けるのでビガンへ訪れるなら外せない。

サンタマリア教会

バタックは現大統領の父親の出身地で、バタックのマルコス博物館では父親マルコス関連の歴史を展示している。ここは歴史好き以外はあまりお勧めできないが、時間があれば行ってみるのもいいかもしれない。マルコス家が住んでいた豪邸(Malacañang of the North)や1710年に完成したバロック様式のパオアイ教会も併せて立ち寄りたい。
また、パオアイ教会は1993年にユネスコの世界遺産「フィリピンのバロック様式教会群」の一部として登録された人気の観光地だ。
パオアイ教会やバタックは北の大都市であるラオアグに近いのでラオアグを拠点に動けば全て同日に行ける。

パオアイ教会

パグドプッドはルソン島北端に位置する美しいリゾート地だ。手つかずの自然と静かな環境が特徴で、観光地としての知名度は低いものの、北のボラカイとも呼ばれるほど美しいビーチがある。
中でも有名なビーチはサウドビーチ(Saud Beach)やブルーラグーン(Blue Lagoon)で、どちらもリラックスした時間を過ごすのに最適な場所だ。
他にもルソン島北部にはバンガイビーチ(世界的に有名なバンガイ風力発電所の巨大な風車が並ぶ景色が圧巻)やトレッキングが出来るカパルランの滝など見どころがたくさんある。

バンガイビーチ

基本的にイロコスの旅はビガン、ラオアグの2都市が観光の中心になる。
その場合、ラオアグまで飛行機で行くのが一番手っ取り早い。マニラからは1時間程度で着くのでかなり楽だ。そこから、バスで2時間北へ行けばパグドプッドへ、2時間南に行けばビガンへ、どちら行くにもバスは頻発している。
グループ旅行ならバンを貸切るのが圧倒的に楽だ。バスはバスターミナルや国道で乗降出来るのでとにかく頻繁に停車する。よって、ものすごく遅い。しかし、貸し切りバンは目的地までひたすら進んでくれるのでビガンなら日帰りも可能なくらいだ。
バギオからは基本的にバスしか選択肢がないが、5~6時間でビガンへ行けるので1泊2日で旅行する現地人が多い。

マニラやバギオから見るとビガンが一番近いので、ビガンから順に上っていくとすると、初日にビガンの歴史地区を見学、次の日にサンタマリア教会へ行き同日にラオアグへ移動、翌日ラオアグ周辺(バタック、パオアイ)を半日で回り、同日中にパグドプッドへ移動、(夕刻前に着けばサウドビーチで夕日が見れる)次の日は一日パグドプッドから日帰りでブルーラグーンへ。強行だが、この予定であれば4泊5日でイロコスを大体回る事が出来る。
しかし、ビガンには歴史地区以外にも観光地が多く、ラオアグも半日で去ってしまうにはもったいない、さらにパグドプッドの周辺にも観光スポットが多い。なのでプラス3日で7泊8日位は欲しい。

ブルーラグーン

イロコスだけの話ではないが、旅をする上で天気が重要なのは言うまでもない。
実際に旅をした5月は毎日快晴で、午後に多少雲がかかる事もあったが雨の心配はなかった。しかし、年間の気候を見ると、5月後半から雨季が始まるので乾季と雨季の間であった。雨季は概ね5月~11月までで、12月から5月が乾季になる。そして4月と5月は暑季にあたり、とにかく暑くなる。気温と降雨量を考えると12~3月がベストシーズンになり、4~5月も暑いが観光は出来る。
しかし、いくら暑季でもイロコスの街は海沿いなので危険なほど気温が高くなることは少ない。5月のビガンの気温は32℃を超えるくらい。対して、カガヤン州の Tugegarao は4~6月の平均最高気温は36℃なので、それに比べると….

ボヘヤドール岬灯台

次にいくら必要かだが、フィリピンを旅行するのは意外と高い。そのせいか欧米人のバックパッカーが他のアジアの国に比べて少ない。
そして、ホテルが高い….  安宿はあるが、探しづらかったり微妙な場合が多い。
経験上、タイなんかで、どこにでもある快適な安宿は見つからない。
しかし、Agoda などの予約サイトを使えばかなり安く泊まれる。例えば、雨季以外に私がよく利用する宿のレンジは一泊2500~3000ペソ位のエアコン付きダブルルームで、事前予約で1500ペソ程度で泊まれる。円で考えると、4000円位からなのでそこまで割安感がないが… 
街の中心地やバスターミナルからの距離などロケーションを考えてホテルを選ぶと大体それくらいになる。
そして、ビガンにはコロニアル風のアンティークホテルが多く、室内はスペイン風の装飾で古い家具が使われていて、まるでホテル自体が博物館の様ですごくいい。この手のホテルが5000円程度で泊まれるなら悪くないと思う。
雨季にはもう少し安く泊まれるが、どうせ旅行するなら出来れば乾季がいいのは間違いない。

ビガンのアンティークホテル

交通費も意外と高い。例えばバス会社パルタスなどの Deluxe 夜行バスはマニラからラオアグまで1000ペソを越えてしまう。ビガンからラオアグ、パグドプッドへと順番に北上する場合も同様にバスで小刻みに払うだけで大体同じくらいか、それ以上を払う事になる。
現地でのトライシクルも意外と高くつく。バスターミナル付近に泊まらない場合は単純にバスターミナルからホテルを行き来しなくてはならない。街中から離れた場所に泊まる場合も、いちいちトライシクルを使うことになる。
距離にもよるが、ラオアグの街中の移動で一回60~100ペソ。
逆に現地ツアーで使う貸し切りトライシクルの料金は意外と安い。ラオアグ近郊を 5~6時間貸し切りで800ペソ程度だったので悪くない。

Patapat Viaduct

食事はどこで食べるかによるが、割安感がある。私は基本的にローカルレストランで食事をするが、2人で 3品とスープ、ライスで、200~300ペソ程度と安い。フィリピンではどこでもある韓国料理へ行った場合でもビール込みで1000ペソ以下だ。
Jollibee , McDonald’s , Mang Inasal のようなローカル向けのファストフード店は多い。値段はローカルレストランより少し高いくらいで、普通においしいので、私はよく利用する。
逆に Fine Dining と呼ばれる高めのレストランはビガンの中心地に固まっているくらいで、あまり見かけない。

そして、入場料等の観光料金は安い。
世界遺産のビガンの歴史地区はそもそも人が住んでいる街の一角なので無料だし、サンタマリア教会とパオアイ教会も入場料は無い。また、ビーチへ入るのも無料だ。料金がかかるのは博物館や自然保護区系の場所だが、大体100ペソ以下の所が多い。一日ツアーの類も割安に感じる事が多かった。
なので、ホテルと交通費が比較的高く、食事や観光は安いといったところだろうか。

ローカル料理

イロコスには名物料理がいくつかあり、それを目的に来るツーリストもいる。
よほど美味しいのか、フィリピン人にイロコス地方へ行くならロンガニーザかバグネットを買ってきてくれと頼まれたことがある。(単に珍しいからなのかもしれないが) いずれにせよ、この地方の名物は有名だ。

イロコス地方で食べられている Longganisa (ロンガニーザ)と呼ばれるソーセージが一番人気だ。Longganisa はいわゆるスペイン風のソーセージで世界中で食べられている。特にフィリピンでは地方によって材料や大きさ、味などが違い、名前は同じでも全く別のソーセージになる。このビガンのロンガニーザは男性の親指位の大きさで、酸味があり美味しい。ホテルの朝食でも出てくる通り朝食にぴったりな感じだ。

Longganisa

Vigan Bagnet(ビガンバグネット)は豚肉のブロックを丸揚げにした料理で、ローカル食堂店などで食べられる。見た目通りの食感で皮はパリパリで中は普通に揚げた豚肉の味。場所によっては硬すぎるので、要注意。揚げたてのものは柔らかくもっと美味しいかもしれない。

Vigan Bagnet

Empanada(エンパナーダ)は他の地方で食べられている物と少し違う。例えば、人気の鶏肉店 Inasal のメニューにあるエンパナーダはパイのような厚い生地に鶏肉とポテトが入っている。対してビガンのエンパナーダは薄い生地に青パパイア、玉ねぎ、ニンニク、ロンガニーザ( 肉として )、玉子など。揚げるので皮はパリパリで中身はふっくらしていて、現地の酢醤油で食べると、とても美味しい。味はお好み焼きのような感じだ。
ビガンでは名物のロンガニーザやエンパナーダなら大体ローカルレストランや食堂で食べられる。

Empanada

イロコス地域を旅行してわかるのが外国人の少なさとフィリピン人が旅行好きだと言う事だ。セブのリゾートとは違い、どこもローカル観光客で賑わっている。と言うか、そもそもローカル好みの観光地が多い印象だった。
パグドプッドでも穏やかで静かなサウドビーチはタイやインドネシアの離島の様に美しく、個人的に完璧なビーチだったが、フィリピン人には波が強く、テーマパーク的要素のある対照的なブルーラグーンの方が人気のようだ。
ローカル好みの観光地を回ってみるのも意外と面白い。

ラオアグ中心部

イロコスの中でもビガン観光は突出している感じがある。名物料理や周辺観光でも楽しめるイロコス旅行の核になる場所で間違いない。ビガンには世界遺産の街並みがあり、いい感じのアンティーク調のホテルも多く、夕方から夜のタイムスリップしたかのような街の雰囲気が素晴らしい。また、足を延ばせば同じく世界遺産のサンタマリア教会へも行ける。
ラオアグやパグドプッドは併せて行けたら位の感覚でいいと思うが、ビガンと別の面白さがあるのも事実だ。パグドプッドの周辺にある観光スポットを回るツアーはフィリピン人に人気のようだし、ラオアグの近くにも名所が多くトライシクルのツアーで行くのも面白い。
外国人観光客が少ないのも魅力の一つかもしれない。
ビガンはフィリピン人の旅行客で溢れている状態なのだが、西洋人や中国人の団体は概して少ない。
そんなイロコスは何度旅行しても楽しめる素晴らしい地域で間違いない。